あるはみ出し者(ジョーカー)達の日常verソウサク 3-2話

ふと、思う。
どうしてあの四人は、呪いの儀式を邪魔したのだろうか?
少なくとも。
そう、少なくとも凍川葵は無駄な事を一切しない。
呪いなんて胡散臭く、なんら効果が期待できない非科学的なものを、己に向けられたとはいえ、わざわざ邪魔しようとなんか絶対にしないのだ。
これが仮に、凍川葵の親友である獅童燈花が呪いの儀式の対象だったなら、獅童燈花の不安を取り除き、安心させるパフォーマンスとして邪魔をする事もあるかもしれない。
呪い自身に効果がなくても、単純そうな獅童燈花だ。
本気で信じ込んでしまう可能性も少しはあると思う。
そうすると、獅童燈花はどんな些細な不運でも呪いに結びつけて考えてしまうかもしれない。
不運とも呼べない、ジャンケンで負ける程度でも呪いにこじつけてしまうかもしれない。
……すると、思考がどんどん暗くなり、後は負のスパイラル。
そしてやがては心を病んで疑心暗鬼、本当に呪われたような状態になってしまう事だってあり得るからだ。
凍川葵ならば、それはないと理解しつつも、ほんの微かに期待した効果がこれだった。
まあ、億に一つも有り得ないが……。
そうなるとやはり、一つの疑問に立ち返る。
それでは、何故?
どうして邪魔をした……?
実は一つだけ可能性も思いついていたが、それも否定された。
単純そうな獅童燈花や神城柚季あたりが、凍川葵が呪いの儀式を受けてると知って大げさに心配し、その二人を安心させる為のパフォーマンスとして、呪いの儀式を潰す為に乗り込んできた――最初、七瀬愛梨はそう考えていた。
だが、長年の腐れ縁からか「そうじゃない」と、凍川葵の様子から直感した。
教室に乗り込んで来た時の凍川葵の様子は……なんと言うか、そういう類のものとは全く違う、異質な緊張感を持っているような気がしてならなかったのだ。
凍川悠の言っていた「……葵。痣はどうだ?」という言葉が、脳裏をフラッシュバックする。
…………まさか。
サカキさんの呪いは、実在する……?
考えてみれば、万年筆の一件もある。
あの不可思議で、薄気味の悪い現象はなんだったのか?
――ふと。
背筋にぞっと冷たいモノを感じて、思わず身震いする。

『ひとりもにがさない』

乱暴に書き殴られた文字の軌跡が、嫌な予感となって、ベッタリと頭の中に張り付いていた。
七瀬愛梨は軽く頭を振って、妄想じみたバカげた想像を追い出そうと試みる。
――そう。
こんなのは、ただのバカげた想像だ。
呪いが実在する、なんて。
バカげた妄想以外の何物でもない。
頭ではそう理解していても、どうしてだか悪い想像が奔流のように止まらなかった。
……唐突に頭を過ぎる、第二の怪談の一節。

『途中で儀式に失敗すると――……』

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