あるはみ出し者(ジョーカー)達の日常verソウサク 6話

SIDE:七瀬愛梨

一人称視点

私は焦っていた。
スマホが繋がらないなんて、有り得ないッ。
少なくとも、学校内で繋がらなくなった事なんて、入学から今までに一度もなかった。
それなのに、どうしてこのタイミングで……?
こんな異常な体験をした、このタイミングで繋がらない?
……有り得ないッ!
悲鳴にも似た思考で、スマホを必死で弄っていると、

「~~~~~~~~~ッ!?」

突然背後から口を塞がれて、万力のような凄まじい力で持ち上げられた。
私は驚愕のままに首を必死で動かし、視線を横へ向ける――……と、

目が、遭った。

狂ったように血走った瞳を限界まで見開き、唇が捲れ上がるほど吊り上がった、壊れた笑みを浮かべた――私、と。
いや、間違ってもソレは私じゃなかった。
私の顔をした、全く別の「ナニカ」。
私の顔をしたソイツは、顔面の皮膚が張り裂けそうなほど異常に引き攣った狂的な笑顔で、暗鬱と嗤っていた。
――……私の頭の中だけで、ソイツの耳障りなほど甲高い嗤い声が大きく響いた気がした。
まるで、この世に生まれ落ちた産声のような歓喜の……しかし、この上なく狂った嗤い声。
視界の端に、鏡が映る。
まるで鏡面と現実の境がなくなかったかのように、鏡面に小さな波紋が無数に浮かび上がり、腕が、首が、私の顔をしたナニカの上半身が――ズルリ、とはみ出していた。

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッ!?」

口を塞がれて出せない悲鳴が、喉の奥だけで大きく爆発した。
凍えるような恐怖に突き動かされて、渾身の力を込めて顔と首にかかった両腕の拘束を振り解こうとするも、ピクリとも動かない。
息も絶え絶えに、宙に浮いた両足を必死でバタバタと動かす――そんな必死の抵抗も虚しく、私の身体は持ち上げられるまま、鏡面世界へズルリと引きずり込まれた。
冷たい沼に引き摺り込まれたようなおぞましい感触に、全身の体温が奪われたような恐怖と悪寒を感じて総毛立つ。
そして、意識が深い深い闇に飲み込まれたように――暗転、した。

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